木曽路の妻籠宿は江戸時代の街並みをよく残している宿場町でした。それもそのはずで、全国で初めて古い街並みを保存した地区で国の重要伝統的建造物群保存地区に選定され「郷土環境保全地域」の指定を受けています。
近頃では江戸時代の街並みを保存したり、城下町を新しく整備し直して往時の風情を取り戻して観光産業を活性化させようとする取り組みが見られますが、ここ妻籠宿はその取り組みの草分け的な存在です。
そのせいなのか、隣の馬籠宿と比べると江戸時代の様子を残すことに成功しています。観光客相手のお土産物屋さんやカフェなどが少なく感じましたが、新しく始めようとしても景観等の制約から始められなかったのかもしれません。
しかし、その分映画のセットのように感じてしまう残念なところがないので、江戸時代の宿場町の素朴さがリアルに伝わってきます。
妻籠宿は、宿場町の素朴さを撮るのがキーワード?
江戸時代の宿場町の素朴さが妻籠宿を写真に撮る上でのキーワードになるはずですが、いくら写真で素朴さが伝えられたとしても、またその質が良かったとしても、それだけでは写真を見てくれる人をなかなか引き付けられないので、都会的で現代的な感覚と素朴な宿場町の時代性との橋渡しをする一枚の写真が必要になります。
それを見つけられなくてモヤモヤしています。
観光地化した賑やかさや色数の多い看板を写しておけばよいと思っていたのですが見当たりませんでした。なめていました。
写真を撮ろうとすると、今申し上げたような、賑わいや色数の多い看板などを写してしまいがちですが、妻籠宿にはそれがほとんどありませんから、小賢しいテクニックよりも被写体の味をどのように写すのかの実力が問われる場所です。
馬籠宿についたときには、正直なところ何もないなあと感じましたが
そんなことはないのに、自分の感性が鈍いとどうしてもそのように感じてしまうものだと確信しながら写真を見直しています。
今と昔をつなぐ写真とは、「流行の服装と背筋がシャキッと伸びて溌溂とした複数の若い女性の姿が写り込んでいる妻籠宿の写真」なのだろうと思っています。
木曽路広域公式観光サイトhttp://www.kisoji.com/kisoji/feature/shukuba.html
使ったカメラ Nikon:D500 レンズ:Nikkor DX 17-55mm F2.8