印象派のモネの絵画のように写す方法を考えて現地に向かいました。
モネといえば睡蓮の池の絵を思い浮かべます。
モネらの印象派の絵は、対象を全部描ききることをしないで、モチーフも含めてその絵を見る人の心の中にあるものを使って補ってもらいながら表現したり、伝えることで成り立っていると思います。
だから、目にしたらその絵と会話(交信)する時間が必要です。
いわゆる観る人の感覚がフォーマットされる時間が必要なのです。
それで、一度フォーマットされてしまうと、もうその絵は初見のときとは違って、すぐにその絵の世界に潜り込んで描かれている意味が理解された感覚の状態で鑑賞することができるようになります。
そのように考えると、絵の描き手とその絵を見る人との合同作業で作品が成り立っていることに気がつきます。
印象派の絵の特徴を表現するためにカメラの設定をいろいろ変えて撮影してみました。
カメラの設定を練る前にモネの池の行き方を知っておく必要があります。
カメラの設定を練る前にモネの池の行き方を知っておく必要があります。
名古屋からでも、現地まで行くには高速道路を使っても2時間ほどかかる距離にあります。
撮影の成功か失敗かの判断は設営の方向性にもよりますが、結論を申し上げると、何度も足を運び、たっぷりと時間を使ってあれこれと試しながら撮るとうまくいくでしょう。
そんな、最初から分かっているごくごく当たり前の結論にたどり着いただけでした。
しかし、何度モネの池に行ってもそこまで行く時間が短縮されることはありません。
畦らずに気持ちを落ち着けて車を運転することが大切です。
インターネットを検索すると「モネの池」の美しい写真がたくさんアップされているのですが、本当にそのような美しい写真が撮れるものなのかを疑っていたのですが、案外スマホの方が美しい写真が撮れるように思います。
私は一眼レフカメラで、設定を試しながらこんな感じの写真を撮りました。
モネの池への行き方
東名高速道路名古屋ICから名神、東海北陸道を走り美濃ICで高速道路を降ります。
そこからは美濃市内を抜け、道の駅「美濃にわか茶屋」を越えてすぐの信号を左折して長良川を渡ります。
そこからは板取川に沿って山間の国道を走って行きます。
途中に案内看板が出ています。
東名高速道路名古屋ICから現地までは約100㎞の距離です。
約1時間50分ほどで到着しました。
この地図では起点を名古屋ICにしていますが、大阪や東京から行く場合には岐阜まではJRで行くのが良いと思います。
新幹線で名古屋まで来て、JR東海道線に乗り換えると30分ほどで岐阜駅に着きます。
降りたらレンタカーを借りてモネの池まで走るのが体力的に楽だと思うのでお勧めします。
フラワーパーク板取さんが伝えるモネの池の情報が役立ちます
モネの池のすぐ隣にある「フラワーパーク板取」さんのサイトを参考にさせてもらいました。
睡蓮の開花は「お昼頃」との情報は大いに役立ちました。
また、鯉の餌やりが午後に行われるので池の水の濁りが気になる方は午前中に写真を撮るのが良さそうです。
カメラは一眼レフを持っていきました
スマホでもうまく撮れますか?
次のことに注意すればうまく写せます。
池全体を景色として写す場合には何の問題もありませんが、水中の鯉も一緒に写す場合には、水面の光の反射、水中の光の屈折が撮影の邪魔をする場合があるので気をつけながら撮影します。
①水面が光って水中が見えにくい場合は、位置を変えて水の中が見える場所に移動してから撮影するとOKです。
②水中が見えていても遠くにいる鯉は、光の屈折で薄っぺらく変形して写るので、手前まで泳いできたときを狙って撮影します。
③スマホカメラに偏光フィルターを装着すると水面が反射で光っていても水中が撮影できます。フィルターの先のリングを反射がなくなる位置にくるように回して調節します。
こういったスマホ用の偏光フィルターとボケ加工やピント位置調整できるアプリを利用すると上手くいくのですが、私は、iPhone用の「一眼レンズキット」という有料アプリをインストールしてあるので、それを使って撮影する場合もあります。
一眼レフカメラで撮ったような写真が撮れます。
しかし、モネの池などの水辺ではスマホでの撮影はあまりお勧めできません。
その理由は、撮影中に手がすべって、池の中にスマホを落としてしまう危険性があるからです。仮に防水スマホであったとしても、たぶん壊れてしまうのではないかと思います。池の水深は浅そうに見えますが、フラワーパーク板取さんの説明では水深は腰辺りまであるそうですし、底の泥に埋まってしまうと回収も困難になってしまいます。
一眼レフやミラーレス一眼で撮影する場合
いつも使っているNikonのD5500には18mm~140mmのズームレンズをセットしているので、そのまま持っていきました。
モネの池には鯉がいますから、水中を泳ぐ鯉と睡蓮の茎と水面の丸い葉をうまく写したいので、水面に反射する光を抑えるためにズームレンズと同じ口径の67㎜偏光フィルター(CPLフィルター)を準備しました。
偏光フィルターは、カメラのレンズ先端に取り付けて回しながら反射光を調節するので、レンズとと同じサイズ(直径)のものを用意します。
購入する場合には、レンズの先端のどこかに52㎜とか67㎜とかの表記があるので、それを確かめてから同じサイズの偏光フィルターを選びます。
CPLフィルターを装着すると、レンズフードを外しておかないと、フィルターを回して調整できないので、迷わず外しておきます。
ちょうど67mmサイズのKenkoの偏光フィルター(CPLフィルター)があったので、それをレンズの先端に装着しましたが、新しく購入する場合にはアマゾンで1000円ちょっとで販売されているものでも十分使用に耐えます。
CPLフィルターには黒い色がついているのでその分写真が暗く写るのですが、カメラ任せで撮っても暗い場所でない限りあまり問題はありませんが、明るくちゃんと写すために、被写体の明るさに関係する①シャッター速度②絞り④ISO感度の設定には気をつけてください。
うまく写すための下準備:カメラの設定とか
①露出時間(シャッター速度)
は1/60秒や1/125秒、1/500秒などいろいろな速度の設定があります。
例えば1/125秒では1秒の125分の1の時間だけカメラのセンサーに被写体の光が届きます。
それが1/500秒だと1/125秒に比べて1/4しか被写体の光がセンサーに届きません。
しかし被写体の明るさが4倍の明るさの場合には1/500秒にするとうまく写ることになります。
そして、露出時間(シャッター速度)が少ない(速い)ほど、動いている被写体が止まって写ります。
カメラ設定を、Sに合わせて露出時間を固定、例えば1/250秒にしておくと、あとはカメラが自動で調整してくれるのでだいたいうまく写ります。
②絞り
レンズのf値(エフ値)ですが、f3.5、f2.0、f1.2など数字が少ないほど光を多く取り込みます。
その光を取り込む量を少なくすることを絞るといいます。
カメラのレンズにはそのような絞り機能が付いています。
レンズの絞りを絞ってf値が5.6、8、16などと大きくなるほど被写体の近くからその向こう側までピントが合うのではっきりと写ります。
スマホのカメラで撮った写真は近くから遠くまでまんべんなく写りますが、レンズ交換式デジタル一眼カメラではレンズのF値の数字が小めの焦点距離が50mm程度以上のレンズを使うと被写体を際立たせるために背景をぼかして写しやすくなります。
そして、構図にもよりますが、池の鯉が足元に寄ってきた時にグイッと近づいて写すと被写体にパワーがみなぎり存在感のある写真が撮れます。
また、カメラの機能設定を使うだけでもそのような写真を撮ることもできます。
例えば、デジタル一眼カメラには、近頃では撮影シーン別の設定機能がありますが、そこで「ポートレート」を選択することで、あれこれ設定を考えずに被写体が際立ち印象的な写真を撮ることもできます。
それ以外の設定
ホワイトバランス(蛍光灯、白熱灯、曇り、晴れ、日陰)の選択と、ISOの設定は100、200,400、・・・・12800などもオートでよいと思いますが、ISO感度は最高値を400や800程度に設定しておくと画質が荒れ過ぎないので雑味のない写真が撮れます。
きめ細かな写真を撮る場合にはISO設定は100程度に低くします。
ただ暗いところで写す場合はカメラの画像センサーの感度が低くなるので、うまく写りませんから、試し撮りしてだいたいの感覚をつかんでください。
撮った画像をPCに移して状態を確かめると違いがよく確認できます。
最初のモネの池の写真①と②のISO感度設定は12800ですが写真の粒子が荒れるので普段使うことのない設定ですが、写真が印象派の絵画的のようにならないかと思って試してみた写真です。
モネの池①は露出時間=シャッタースピード(センサーに光を当てた時間)はオートで1/1600秒です。
絞りF値は20、レンズの焦点距離は60mmです。
つまり、画質のきめ細かさや荒さの設定を優先的にISO設定して、あとはカメラ任せにして写しました。
フラワーセンター板取さんの店内で、お客さんにモネの池の撮影のコツを説明されていました。①少し暗めに撮ること、②風で水面が揺れた時に撮るときれいに撮れること、の二つの点を耳にしていたので、少し写真の画質を荒くして撮れば雰囲気が出るかもしれないと考えてISOを最高値にして撮影してみました。
もっと汚い感じになるかと思ったのですが、絵画のような暗めのぼんやりした感じに写っていて、そう悪くない感じです。
モネの池の撮影のしかた
モネの池の特徴は、池の底がグレーがかった白なのが特徴です
そのことが写真を美しく見せてくれますから、先ずカメラのファインダーを覗いて睡蓮の位置と葉の色合いを選んで構図を決定します。
そして、鯉が構図の中のバランスが良い位置に泳いできてくれるのをずっと待つようにします。
鯉は回遊しているので1時間も頑張ればシャッターチャンスは何度も訪れます。
下の写真の構図で鯉が来るのを待ちました。
モネの池の周りを撮ると、池の中とのギャップが大きく夢から醒めたような感覚に見舞われます。
池の中を写すのが良いと思います。
感想
モネの池は四季折々に表情を変えるでしょうし、時間帯によっても写真の写り方が変わると思います。
もちろん、天候によっても変化するでしょう。
絞りを変えても、露出時間やISO感度のセッティングを変えても色合いが違って写ります。
また現像処理しても違った表現の写真になります。
いずれにしても、撮影後に画像の加工処理で何とか調整するつもりでいたとしても、最初から思ったイメージの通りに、そしてありのままに写す技術があると手間が省けまから楽です。
モネの池で写真を撮るとと、想像以上にきれいな写真が撮れるので是非トライしてみてください。
フィルムで写真を撮っていた時代には現像や紙焼きの時に多少の調整はできるとは言うものの、写真は一発勝負でした。
今でも、現像から上がってきたフィルムをスキャンしてデジタル化すれば、Photoshopなどで加工も可能です。
しかし、デジタルカメラの連写機能が向上しても、撮影後に大きくトリミング可能な画素数であったとしても、後に積み残した作業とそれに費やす時間が多すぎます。
デジタルの時代でもやはり一発で思ったような写真を撮りたいと思っています。
しかし、まあなかなかそうは参りません。
今回のモネの池の撮影には準備不足で残念な思いが残っています。
カメラは精いっぱい頑張ってくれているのですが、自分のイメージする力が足りずに不本意な写真を掲出してしまっています。
失礼しました。
誤解がないように申し上げるのですが、私は、デジタルカメラで撮った写真を、後から加工することを否定しているわけではありません。
PhotoshopやLightroomを使っての画像の調整は行なうのですが、その作業を通して思うことは、撮影者の意思や感性が乗り移っているオリジナルの写真には力を感じますし、後で加工調整しようと考えて撮った写真は上手く加工処理したつもりでも生気が足りない感じを受けます。