大樹寺の三面八臂の馬頭観音像は、正面の人にも、右側を通って多宝塔に参る人にも、そして三門の外の歩道を歩きながら石垣の隙間から覗いていく人にも、チャンと目線を合わせてくれることです。サービス満点です。
ところが、正面から見る限り左右の顔がそんな仕事をしているとは想像できません。左右の顔は、一見はっきりとした目鼻立ちというよりもあまりはっきりしない顔のような印象ですが、しかし違うのです。180度を60度ずつ、正面、左、右に分けて担当しています。
地味に見えてなかなかやり手の大樹寺の馬頭観音さまです。
仕事をしているときの左右それぞれの顔の凜々しい顔つきをご覧下さい。
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姿形は写真の通りなのですが、観音様の額の上には馬の顔がついていて、眉間に目があるので馬頭観音像ということがわかります。
三面八臂(3つの顔に8本の腕の意味)で右膝を立てて座っています。八つの手のうち二つの手は胸元で馬頭印を結んでいます。
小指を立ててないから違うという方もあるかも知れませんが、この印のスタイルもあるようです。ただ、無理に小指を立てて作ってしまうのはやめておいた方がよいと作者が考えたと思うので、諸条件を考えるとこれが正解でしょう。
この馬頭観音は片膝を立てて座っていますが、表情や持ち物、立像と座像、そして乗馬スタイルなど色々な馬頭観音像があるようです。この馬頭観音は顔も穏やかで見た目怖くないので親しみが持てます。
手は八臂(はっぴ)(八本の腕)で胸元で真手(しんしゅ 本来の腕)は印を結んでいます。この馬頭観音の手に持っている物は、右腕の上から、金剛棒、斧、念珠。左腕の上から法輪、水瓶、網索(縄)です。
索網にしては輪っかが小さいので、手でOKマークに似た印を結んでいる可能性もありますが、そこは作者に尋ねないとわからないと思います。
台座に何か書いてあるので判読をチャレンジしましたが読めませんでした。写真に撮ってコントラストや明るさや色を調整すると何か文字が浮かび上がるのですが読めるまでに至りませんでしたが、読めた折りには記事に追加します。
あれこれ思いながら、馬頭観音がここにある理由も一緒に考えてみたのですが、松平家は累代騎乗する地位にある武将なので馬の供養のために寺に設けられたと考えられます。
今は時代も変わったので、ペットの供養のためにこの石像に手を合わせるのも良いかも知れません。
大樹寺の三面八臂の馬頭観音像の特徴は、正面で手を合わせる人にも、右側の通路を通って多宝塔に参る人にも、そして三門の外の歩道を歩きながら石垣の隙間から覗いていく人にもチャンと目を合わせてくれることです。サービス満点です。
地味に見えてなかなかやり手の馬頭観音さまです。
使ったカメラ Nikon:D500 レンズ Nikkor DX 17-55mm F2.8