京都造形芸術大学が2020年4月に学校名を京都芸術大学に変更したことにより、京都市立芸術大学が学校名の使用差し止めを求めていた裁判で、大阪高等裁判所から示された和解案に両校が合意し2021年7月20日に和解が成立しました。
その内容は、2020年4月に京都造形芸術大学から京都芸術大学に名前を変更した学校法人瓜生山学園京都芸術大学に対して、京都芸術大学の学校名の使用は認めるものの略称である京都芸大と京芸は使わないことで合意したというものです。
和解条項には、
1(1)訴訟人( 公立大学法人京都市立芸術大学 )は被訴訟人大学(京都芸術大学)の名称として「京都芸術大学」及び「Kyoto University of the Arts」を使用することに自ずから異議を述べない・・・。
(2)被訴訟人( 学校法人瓜生山学園 )は、訴訟人( 公立大学法人京都市立芸術大学 )が訴訟人大学(京都市立芸術大学)の通称又は略称として「京都芸大」及び「京芸」を使用することに自ずから異議を述べず,また第三者をして異議を述べさせない・・・。
2(1)被訴訟人(学校法人瓜生山学園)は今後,被訴訟人大学(京都芸術大学)の通称又は略称として「京都芸大」及び「京芸」を自ら使用せず,また,第三者をして使用させない・・・。
(2)訴訟人(公立大学法人京都市立芸術大学)は今後,訴訟人大学(京都市立芸術大学)の通称又は略称として「京都芸術大学」を自ら使用せず,また,第三者をして使用させない・・・。
※注( )内はわかりやすくするために筆者が学校名やその学校法人名を示したものです。
詳しくは和解調書をお読みください。
いわゆる痛み分けの和解内容になっており両者の争いは和解という形で決着しましたが、今後は学校名と略称を社会がどのように認識して使い分けて(識別)もらえるかに掛かります。それは、大学の経営にとってはとても重要な意味をもちます。
第三者の筆者の目からは、創立が新しい学校がその名称変更によってイメージを変えることで、安定的なポジションを得ようと試みたように見えていて、大学の暖簾(価値)を巡る争いのようにも映ります。今後は両者の競争が続いて行くことになるはずです。
少子化、高額な学費、大学の特徴や個性などを武器とした競争が各地で起こっている。
少子化、高額な学費、大学の特徴や個性などでの競争が各地で起こっていて、市立(公立)といえども現在では法人組織下にあり独立採算が求められているのは私立大学を経営する学校法人と変わることはないはずです。
全国から、そして海外からも学生をどのようにして集めて来るかは、大学経営の上で最大の関心事にならざるを得ませんから内部では企業的な経営や考え方が進んでいなければ存続は無理です。この変化に早く対応できたところだけが生き残ることができるという競争原理が強く働き始めていて、つまり弱肉強食の世界に突入しており大学間の生存競争が始まっているのです。
教育に下賎な考えを持ち込むなといわれそうですが、ビジネスと同様に、お客様を獲得するために必要なことを継続努力する必要があります。
それは知名度があり
誰でも知っている身近に感じられる呼びやすいネーミング(呼称)
費用が安い=コストパフォーマンス
行きやすい立地
社会的に尊敬される
その大学を卒業して活躍している有名人がいる
などのことをわかりやすく構築し社会に伝え続ける必要があります。
しかし、SNSやWEBサイトに書き込んで済ませる程度のことは、どこでもやっているのであまりにもメディアミックスの程度が薄すぎます。
とても時間と労力を必要とする仕事です。
吉野家のスローガンは うまい やすい はやい
吉野家のスローガンは うまい やすい はやい ですが、ビジネスがうまく表現されていると思います。
それを大学に当てはめてみると
うまい 教育内容が良く教えるのがうまくて上手
やすい レベルが高く費用がやすければ自ずと学生が集まる
はやい カリキュラムに工夫があり、実践的ではやく身につく上に卒業したら弁口したことがすぐに役立つ
こんな感じになりました。
まとめ
この和解によって下記のように棲み分ける形になります。
東京芸大に対する京都芸大 → 愛称では京都市立芸術大学が有利?
東京芸術大学に対する京都芸術大学 → 本名では京都芸術大学が有利?
しかし
①東京大学と東京藝術大学
②京都大学と京都芸術大学
東京と京都を対比させて並べてみると、京都市立芸術大学の気持ちとしては、②の部分が自分たちではないことも、歴史とプライドが許さなかったのではないかと思います。
私はどうしてもモヤモヤ感が残ってしまいました。
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この記事は少ない情報にもかかわらず第三者として個人的に思ったことを書いています。悪しからずご了承ください。
京都市立芸術大学 https://www.kcua.ac.jp/litigation/ 京都芸術大学 https://www.kyoto-art.ac.jp/news/info/744
MBSNEWS https://www.mbs.jp/news/kansainews/20210721/GE00039361.shtml
Google検索を使うと検索語とその一致で名前の浸透度が測れるかも知れません。