明治村の帝国ホテル旧中央玄関玄関を撮影。建物の中では光りの扱いに迷ってしまいました。建物には細かな意匠が施されていて、全体的にも大きく小さく凹凸のある設計です。徹底的に手の込んだ造りとその上等さには際限がありません。ひと目見ただけでもそれが伝わってきます。仕立ての良い背広とシャツにネクタイ、そしてよく磨かれた革靴を履いて、ワンスパン向こうにある会社まで差し回しの車に乗って仕事に向かう、そういった映画のシーンが湧いてくるような気がします。
1923年に完成したこの帝国ホテル旧本館に使われてブームになったスクラッチスタイル
1923年に完成したこの帝国ホテル旧本館に使われてブームになったスクラッチスタイルの煉瓦のデザインが、現在でも素材は異なりますが一般の住宅の外装に使われて高級感を演出しているのを見たことがあります。
この帝国ホテル建設のために愛知県常滑市に作られた帝国ホテル煉瓦製作所は煉瓦400万個と何万個もの繊細なデラコッタを制作しホテルが竣工した後に、役割を終えた設備と従業員を伊奈製陶(LIXIL)に引き継いだのだそうです。
現在帝国ホテルは建て替えを計画中でタワーとホテル棟を別々に進める予定だそうです。2036年頃に竣工予定とニュースが伝えています。
これは個人的な思いですが、日比谷通りの正面入り口は車の通行量が多すぎます。また建物の玄関のイメージが普通な(機能的)感じを受けます。
車寄せは少し手狭な印象を受けます。そのようなことを利用者に感じさせてしまうのは、その時代の考え方に沿って合理的に設計してしまったからなのだろうと思っています。
時代も社会も現在とは異なりますが、帝国ホテル旧本館の姿を見ていると、新しく建て替えられる帝国ホテルの建物には、やはりどこかにその歴史とプライドを表して欲しいと思います。そしてそれを上手に実現させて欲しいと思っています。
今、東京や大阪で新しく建て替えられているビルをみると、どこかに昔のイメージを残しながらデザインされている建物を多く見かけます。幸いにも帝国ホテルにはフランクロイドライト設計の財産がここ明治村(愛知県)に残されています。
写真はシャッタースピード優先で(1/80 F8 iso160) 明るい部分も暗い部分もできるだけコントラストをつけずにフラットに写すようにしています。撮りたかったのは案内パンフフレットのような写真です。
ロビーの吹き抜けは(1/125 f2 iso 80) 室内の照明と出入り口の外のわずかな景色の情報を両立させたかったのです。手前の黒飛び部分は手すり部分ですがちょっとやりすぎ感があります。
談話室?は(1/20 f2 iso400) 窓の外の景色が、斜面に生える雑草だったので、それを写したくなかったので白く飛ばすことを思いついたのですが、暗い部分もきちんと写したいので設定に迷いが生まれています。腰掛けがペット犬の前足と後ろ足をイメージさせてなかなか面白いデザインです。
外装も内装も、ここまでやらなくても!と思うくらいデザインに細かく手が入れられています。
フランクロイドライトの要求に応えるために頑張り抜いた現場の様子が伊奈製陶がLIXILになっても今に伝えられています。
LIXIL HP https://livingculture.lixil.com/story/story1/
帝国ホテルの広報 https://www.imperialhotel.co.jp/j/tokyo/news/cat311/20210325_news.html
帝国ホテルの昭和時代の出来事
使ったカメラ Panasonic DMC-LX5