円空仏の寺、荒子観音寺のフェンスに飾られている現代の円空仏も円空の心を伝えています。お寺で頂いた資料を読むと、荒子観音寺は天平元年、729年の開基で由緒あるお寺です。名古屋市にあります。お寺から徒歩5分ほどしかない近所で生まれた前田利家の菩提寺でもありますが、円空さんが1673年~1681年の間このお寺に逗留したときに残した大小1250体ほどの円空仏が荒子観音にあることでも有名です。日本中にある5340体のうち1250体がこのお寺にあります。懐中電灯を貸していただきました。
私は円空仏を見るのが初めてで、ヘタウマの芸術作品かと思っていたのですが、説明を伺っていると私が思ったようなせこい話ではなく、やはり僧としてまじめに人の苦しみを救う目的で彫った仏様ということがわかりました。お寺の方から伺うお話の中にその答えがありました。
円空は旅の途中、悩み苦しんでいる人に出会うと仏様を彫り授けていたのだそうです。小指ほどの大きさの円空仏には小さく彫った理由があったのです。それまでは小さい仏様の意味がわからずにいたのですが、それは病み苦しんでいる人に出会うと、その場で仏様を彫り、その手に握らせるためだったのです。
医療のない時代には、病んでしまった人にはもう絶望しかありませんでした。そんな時代に円空が希望を失い絶望した人々に仏様を握りしめられるように速く小さく彫ることで、生きる希望の光りをともしていたのです。どれだけの人達を救ってきたのか計り知れません。
円空の全国行脚と彫った仏様にはそのような目的と意味が込められていました。
本坊の隣には円空仏を作る工房があり、現代の円空仏を彫っている方達がいらっしゃいました。
仏様を彫りだして塗装を施してフェンスに飾ってある作品はここで制作された現代仏師のもののように見受けました。
本坊の門前に飾られている仏様も現代の円空仏師の作品です。
毎月第二土曜日の13時から16時に荒子観音寺本坊で円空仏を拝観できます。
円空さんは1632年岐阜県(美濃国)生まれだそうです。
使ったカメラ Nikon:D300S レンズ Nikkor: DX 35mm F1.8 フルサイズ換算 約50mm