
伊賀八幡宮の随身門を撮影するときに忘れてはいけないのが、門をくぐるときに両脇で来る者をチェックしている衛士の姿をした随身(随神)と、その随身門の屋根の四隅を支えている力神(りきしん)です。
この朱塗りの大きな門だけだと全体を撮っておしまいなのですが、美しい衣装とリアルな顔立ちの随身と、デフォルメの効いたダイナミックな力神がこの門にいることが、この随身門の価値をいっそう高めています。
この門を設計したときには、莫大な費用が必要なプロジェクトだけに幕府の勘定方であった松平正綱は将軍家光の指示とその費用の板挟みになり悩んだに違いありません。
当然安く済ませたいはずですが、随身と力神を随身門に置くこと、そしてその費用が建築費用に及ぼす影響を考え合わせると、葛藤がないわけがありません。
しかし、その葛藤を乗り越えて、きちんと制作してこれらを随身門に置いたことで、この門の価値はずいぶん上がったと思います。
この門を被写体として眺める場合には、建物の美しさだけを写真撮影すると絵はがきのようになってダイナミックさを感じませんが、随身と力神がこの門にいることで随身門の美術的な見所が増えて価値が生まれています。
何百年か前の決断がとてもよい決断であったことがとてもよく伝わってきます。
そのようなことを思いながら撮影しました。
現在でもそうですが、江戸時代でも彫刻などの美術品はとても高額な費用がかかったはずです。
使ったカメラ Nikon D500 使ったレンズ Nikkor DX 18-200mm F3.5-5.6