2022年6月23日に防衛省向け3,900トン型護衛艦「やはぎ」の命名・進水式が三菱重工長崎造船所で実施されました。
艤装はこれからです。
艦名にゆかりのある矢作神社では初代、二代目の軍艦矢矧(やはぎ)のことを知ることが出来ます。
矢作神社は、岡崎市を流れる矢作川の国道一号線が通る矢作橋の西詰土手沿いにあります。
日本武尊が東征の折に戦いに使う矢を作った場所と伝わっています。
また、日本武尊が軍神として素盞鳴尊(すさのうのみこと)をここにお祀りしたと神社の由緒書きにあります。
初代の巡洋艦矢矧の兵員一同が矢作神社に参拝した歴史があります。
初代の巡洋艦矢矧の兵員一同が参拝し、船の模型を奉納した歴史があり、その模型は現在も美しい状態で保存されています。
宮司のお計らいにより、初代矢矧の絵や奉納された模型などの写真を撮らせて頂きました。
ネットで三代目のやはぎが進水したことを知り三菱重工のWEBサイトを確認したところ、3,900トン型護衛艦「もがみ」型5番艦だということでした。
これから艤装が施され令和5年度中には防衛省に引き渡される予定だそうです。
新しく進水した、もがみ型護衛艦やはぎの船体側面には凸凹がなく、とても特徴のあるデザインです。
新しく進水した、もがみ型護衛艦やはぎの船体側面には凸凹がなく、とても特徴のあるデザインです。
艦橋は低く、軍艦の写真などでよく見る鉄塔のような高くそびえる構造物がありません。
ネットで防衛省のもがみ型護衛艦の写真を見ると、艦橋の上にはイージス艦のようなレーダーと思われる四角い板と、ロケットのような突起物があります。
最新の設備や装備ではそれだけで性能的に十分なのだろうと思うのですが、外観からは勇ましい軍艦らしさはあまり感じられません。
もがみ型の護衛艦の乗員数は約90人だそうです。
初代の矢矧が456人、二代目が726人ですから、二代目の1/8、初代の1/5の乗員で戦えるように設計されていることになります。
巡洋艦と、護衛艦とでは、有事の際の艦船としての役割も異なるとは思うのですが、技術的な進歩がその乗員数が示しているのでしょう。
神社のレリーフやweb検索、ウィキペディアなどの表示を参考にして歴代やはぎの比較表を作ってみました。
歴代矢矧比較表
歴代やはぎ | 初代矢矧 | 二代目矢矧 | 3代目やはぎ |
艦種 | 二等巡洋艦 | 二等巡洋艦 | 護衛艦 |
進水 | 1911年(明治44年)10月3日 | 1942年(昭和17年)10月25日? (9月25日との記録がある) | 2022年6月23日(令和4年) |
基準排水量 | 2,027トン | 6,652トン | 3,900トン |
主要寸法 | 全長144.8m×最大幅14.2m | 全長174.5m×最大幅15.2m | 全長133m×最大幅16.3m |
機関形式 | パーソンズ式蒸気タービン | 艦政本部式蒸気タービン | CODAG コンバインド・ディーゼル・アンド・ガスタービン |
馬力 | 29,500馬力 | 100,000馬力 | 70,000馬力 |
速力 | 27(26?)ノット | 35ノット | 30ノット |
乗員数 | 456人 | 726人 | 90人 |
主要兵装 | 15.2㎝単装砲8門 7.6㎝単装砲4門 魚雷 45.7㎝発射管3門 | 15㎝砲連装3基6門 8㎝高角砲連装2基4門 25mm機銃 3連装2基、連装4基 魚雷 61㎝発射管四連装2基8門 射出機1基(カタパルト) 水偵(水上偵察機)2基 | 62口径5インチ砲1基 SeaRAM1基(対艦ミサイル防衛装置) 遠隔管制機関銃2基 SSM装置1基(艦対艦ミサイル) VDS、TASS1式(可変深度ソナー、戦術曳航ソナー) 対機雷戦用ソーナー1式 UUV1機(無人潜水艇) USV1艇(無人水上艇) 簡易型機雷敷設装置1式 哨戒ヘリコプター1機 VLS装置1式(垂直ミサイル発射装置)など (もがみ型護衛艦兵装を参考に記載。 艤装は令和5年度までかけて 行われます) |
初代の巡洋艦矢矧は艦として36年の寿命を全うしますが、二代目の巡洋艦矢矧の艦としての寿命はわずか3年という運命の艦でした。