名古屋駅前のモニュメント「飛翔」が解体用の新しい足場に囲われ始めました。
それをじっと眺めていたら、作者の伊井さんが飛翔に込めた思いが伝わってきました。
「飛翔」はステンレスパイプ鉄骨造で、直径21㍍、高さ23㍍あります。
それはステンレスパイプ部分だけの大きさです。
撮った写真をよく見ると、ステンレスパイプの土台の外にさらに渦巻きが螺旋(らせん)状に描かれています。
パイプの螺旋状の渦巻きはそれだけにとどまらず、基底部分の周りのコンクリート部分にも描かれていたのです。
その螺旋形は本体のステンレスパイプの造形に連続しています。
これは台風が海のエネルギーを反時計回りに巻き込み上昇させていく形と同じです。
きっと作者の伊井伸(いいしん)さんは名古屋が台風の目になれとの思いをこの飛翔に込めたのでしょう。
この基底部の外側の部分は普段は見ることが出来ませんでした。
それだけにもっと早く気がつけばよかったのにと残念に思います。
この金属の渦は、空に向かうに従って強くねじれて細く鋭く尖り、空に続く空間を突き刺します。
名古屋の地中にさまよっているエネルギーがこの飛翔に誘導されて、名古屋の空に放たれる動きが表現されているように感じます。
だから飛翔なのです。
きっとそうです。
このモニュメントはこれまで名古屋の地下のエネルーギーを空に解放し続けてきたのでしょう。
たぶん避雷針の逆のようにエネルギーを名古屋の空に飛翔させ解放する役目を担ってきたのです。
地面に掘られた何本もの渦巻きも含めて飛翔というひとつの作品なんだとわかりました。
気がつくのが遅すぎます。
きっとそうなんです。