熱田神宮境内社、南新宮社の朱の社殿。
もしかしたら、ここが素盞鳴尊の名古屋の隠れ家なのかもと思わせるようなプライベート感があります。
熱田神宮の南新宮社は、南門の鳥居をくぐるとほどなく右側に見える、
上品で小振りな鳥居をくぐると、鮮やかな朱の社殿が木の葉の隙間から見えてきます。
その鳥居は、伊弉諾尊（いざながのみこと）と伊弉冉尊（いぜなみのみこと）をお祀りしている、
楠御前社（くすのみまえしゃ）の鳥居かと思ったのですが、楠御前社の前にも鳥居があるので、
この鳥居は、奥にある素戔嗚尊（すさのおのみこと）をお祀りしている、
南新宮社の鳥居のようです。
繰返しになりますが、その鳥居をくぐって参道わきすぐの場所北側に伊弉諾、伊弉冉の尊をお祀りしている、楠御前社があります。
南新宮社は熱田神宮境内で独立した空間をもっている
木の根がでこぼこしている参道を歩きながら色々考えているうちに、
さっきの鳥居は、熱田神宮にあっても、南新宮社は独立してその境内を形成しているようなので、
その境内の入口の鳥居ではないのだろか？、誰かに尋ねてみよう。
などと思いながらお参りしました。
楠御前社に祀られている神様は素盞鳴尊のお父さんとお母さん
この鳥居をくぐると、そこを独立した空間だと感じたのは、
何の意味もなく鳥居をくぐってすぐ左にある楠御前社に祀られているわけではなく。
お祀りしている神様が、伊弉諾尊と伊弉冉尊のおふたりで素盞鳴尊のご両親だからです。
余談になりますが、その、楠御前社には鳥居と社殿があるのですが、
昔からあったわけではなく、古くは社殿はなかったようです。
そこには、楠（くすのき）を子安神として祀っていた記録があるようです。
江戸中期の熱田社問答雑録に「杜の神也、古楠樹を主とす」とあり、
当時はまだ社殿がなく瑞垣（みずがき）の内に楠の神木が祀られていた記録が残っています。
素盞鳴尊を祭神とする神社は建物に朱が施されている
熱田神宮境内にある新南宮社の社殿は朱に塗られた特徴的な社殿ですが、
同じ素戔嗚尊を祭神としている、大宮市の氷川神社や京都市の八坂神社も、
境内の建物が朱塗りです。
熱田神宮の新南宮社は、きっとそういったところにも配慮されているのでしょう。
お参りして帰る背中越しに、素盞鳴尊がそう教えてくれたような気がしました。
確かにそうです。
熱田神宮の本宮のご祭神は
ご祭神は、
熱田大神（草薙神剣を御霊代（みたましろ）・御神体としてよらせられる、天照大神）と
草薙剣です。
そして 相殿神として、天照大神、素戔嗚尊、日本武尊、宮簀姫命（みやすひめのみこと）、
建稲種尊（たけいなだねのみこと）が祀られています。
素盞鳴尊は熱田神宮の本宮にも祀られていることがわかります。
その功績は大きくて、
なによりも御剣（みつるぎ）である、草薙剣（天叢雲剣・あめのむらくものつるぎ）を、
八岐大蛇（やまたのおろち）を退治して、その尻尾から取り出して奪い取ってきたことです。
そういったことを考え合わせると、素盞鳴尊は熱田神宮の本殿に祀られ、
また、ここにも社殿を構えているということは、熱田神宮では別格の神様だということが分かります。
そもそも、素盞鳴尊が八岐大蛇を退治して奪った天叢雲剣（草薙剣）を、
お姉さんの天照大神に献上したからこそ、今ここに熱田神宮が存在しているからです。
間違いなくそういった配慮もあるのでしょう。
私も、もし熱田神宮だったら素盞鳴尊を同じように奉り（たてまつり）ます。
南新宮社には森の中で大スターに出逢ったような輝きを感じます
熱田神宮境内の森の奥に鎮まる南新宮社からは、
ひと気のない静かな森の中で突然大スターに出逢ったような
ハッとするようなオーラと光の輝きを感じます。
そこにある社殿の朱は、驚きと一緒に人々に神聖な感覚を与えています。
是非、一度新南宮社を訪れて、朱の社殿と素盞鳴尊の神秘的な霊力を感じてみてください。
