



素心蝋梅の小さな黄色い花が春を呼んでいます。
顔を近づけてじっと眺めていると、
小さな花が春を呼んでいるように見えます。
花びらからわずかに離れた部分の空気には温もりがあって、
冬の冷たい空気から花が守られています。
そんなことを思いながら顔を近づけながらよく見ると、
花びらは微かに春をまとっていて、
そこは、たしかに春が来ています。
とはいっても、それはまだひとつひとつの花やつぼみの
表面を薄く覆っている空気に春を感じられるだけです。
素心蝋梅の木を包むように春の気配が宿っているのではなくて、
それは、素心蝋梅のちいさな花びらやつぼみだけの
僅かな部分に限っての春です。
素心蝋梅の小さな黄色い花に微かな春を感じる理由
素心蝋梅の小さな黄色い花やつぼみに微かな春を感じられる秘密は、
どうやら小さな花と、その黄色い色に秘密がありそうです。
例えば、おなじ寒い季節に咲く花でも、椿や山茶花の赤い花の色には冬を感じても
力が感じられるので、春を感じさせるようには見えません。
しかし、素心蝋梅の蝋細工のように
繊細で壊れてしまいそうな黄色い花には春が宿っているように感じます。
小さくて薄い花びらは光を透過させているので、
光を押し返して反射させるのではなく、受入れて花びらの中に取り込んでいます。
そうすることで花びらの黄色にスッとした透明感を醸し出しています。
デリケートですぐにも壊れそうです。
風雪に耐えて咲く花ではありません。
きっと、そのことが素心蝋梅の花に微かな春を感じるり理由なのでしょう。
みんなの趣味の園芸NHK そしんろうばい